口腔外科
①親知らずは抜くべき?残すべき?
皆さんの親知らずに対するイメージはどのようなものでしょうか?おそらく抜いたほうが良い歯というイメージではないでしょうか。実際、蕨・さくら歯科での日頃の診療では親知らずの多くは抜歯した方が良い状態のものがほとんどです。親知らずは口腔内の一番奥まった場所に生える歯ですから、「磨きにくい」「ちゃんと噛むことに参加していない」「へんな生えかたをしている」などの問題を抱えていることが多い歯です。そのような親知らずをそのままにしておくと、親知らずの前の7番目の歯に不具合を引き起こす可能性があります。親知らず周囲の清掃、管理ができていないと、手前の歯との間に虫歯ができるだけでなく歯周病になって骨がとけてしまい手前の歯が揺れてくることがあります。
つまり、親知らずの存在が手前の7番目の歯の寿命を短くしてしまうのです。ですから「真っすぐに生えていて、噛むことにちゃんと参加できていて、しっかり磨くことができている」、この条件を満たしている親知らずは残す価値がある歯と言えるでしょう。そうでない親知らずは抜くことを蕨・さくら歯科ではお奨めしています。(抜く抜かないの判断は、最終的には患者様自身の判断となります)
②口の中にできものができたら。
普段、何も問題を感じていなかったお口の中に、ある日できもののようなものがあることに気付いたらあなたはどうしますか?痛みが無く生活にも支障が無ければおそらく様子を見ることでしょう。そのこと自体は選択肢の一つとしては間違っていませんが、その経過次第では何かしらの対応が必要になることもあります。歯茎にできものがある場合、それはできものではなく細菌感染していて膿が溜まって腫れているものであれば細菌感染の原因に対しての治療が必要です。唇や頬の内側が腫れたり治ったりを繰り返したりしていたり、舌やその他の粘膜面に組織が増殖している感じになっているということもお口の中に見られることがあります。一般の方にとって一番心配なことはそのできものが悪いものなのかどうなのかなのではないでしょうか。悪いできものであれば、できるだけ早期に見つけ適切に対処できたらその後の人生を良い方向へ変えることができるかもしれません。お口の中のできものが悪いものなのかそうでないかを実際に診断するには細胞レベルでの検査が必要ですから、町中の歯医者ではできものを悪性のものかどうかと断じることはできません。しかし、そのできものがどのようなものであるかを視診やX線写真撮影による画像からある程度診断することはできますし、悪いものの可能性があれば精密な検査ができる大学病院への紹介状の手配をさせてもらうことはできます。その結果、できものが悪いものでないと判れば安心を得ることができます。
最初に書いたように、痛みや生活での不具合を感じないものであれば2週間程度の様子見は間違っているとはいえませんが、できものが存在するのであれば一度歯科・口腔外科を受診してみて下さい。
③転ぶなどで唇が切れたり歯をぶつけてしまったら。
日常で運悪く転ぶなどの事故で顔の周辺にケガしてしまって唇や歯茎が切れたり歯を打撲してしまった場合には、傷口から感染が広がることを防いだり、歯の脱臼や痛みへの処置が必要になることがあります。事故のあとには状況次第でそれらについての歯医者での受診を迷うこともあると思います。しかし、裂傷から感染が広がるとその後の対処に時間や回数がかかったり、歯の位置がズレたまま放置してしまうとその後の整復処置がうまくできなくなり歯並びが悪く状態のままになることもありますから、お口の周りにケガをしてしまったときにはできるだけ早めに歯科・口腔外科を受診してください。
④全体的に歯茎から出血する。
歯磨きをすると歯茎から出血して気になるということはありますか?その原因が単純に歯周病であれば、適切な治療を受け日々のセルフケアをしっかり行うことで徐々に良くなることでしょう。ただ稀に、歯茎のほとんどの部分から出血してくるなどの問題が起こることがあります。これはお口の中の問題ではなく血が止まりにくくなる体自体の問題であることが考えられます。そのような場合はできるだけ早く歯科・口腔外科を受診し担当医にご相談ください。出血の原因究明をできるだけ早く行い、必要があればその後の生活で気をつけるべき点などについてのアドバイスを受けて下さい。
⑤大きな病院の口腔外科への紹介。
蕨・さくら歯科で、一般的な抜歯処置から骨の中に埋もれてしまっているような状態の歯の抜歯、粘膜のできものの除去手術等に対応しています。また、軽度~中程度の外傷や歯の打撲や歯の脱臼への対応も行います。
しかし、その中でも持病があり全身管理下での処置が必要であったり、精神的不安が強かったり嘔吐反射があり鎮静法下での抜歯が必要である場合や、粘膜疾患・腫瘍の鑑別診断の依頼などの理由で大きな病院の口腔外科へ患者様を紹介させていただくことがあります。
蕨・さくら歯科では、基本的にできる処置は院内で行う方針で診療に取り組んでおりますが、状況により紹介先での処置をご提案させていただくことがあります。
参考
参考<抜歯処置>
抜歯処置については、虫歯で崩壊したり歯周病でグラグラになってしまった結果残念ながら残していくことが難しい歯の抜歯や、歯自体には問題が無いものの歯の生え方や生えている場所の問題で取り除いた方が良いと判断される歯の抜歯、歯並びの矯正治療で抜歯が必要と判断された歯の抜歯、永久歯へと生えかわる際に自然脱落せず介入が必要な乳歯の抜歯、親知らずの抜歯等に対応しています。
抜歯処置を行う際には、痛みが出ないよう十分な局所麻酔を行って施術しますが、抜歯後の感染や疼痛に関しては処方されるお薬でのコントロールをしていただきます。
抜歯処置については処置時のみならず、その後の経過を観察するとともに消毒処置を行う必要がありますので抜歯当日以降にもご来院いただくための指示を出すことがあります。
※高血圧や糖尿病、心疾患やその他全身状態に問題があり当院での抜歯処置対応が困難であったり、抜歯後に処方する予定のお薬にアレルギーなどがありお薬の処方対応ができない場合、または歯科治療恐怖症が原因で通常の状況下での抜歯処置ができないため鎮静法下での処置が必要と判断した場合など、当院での抜歯処置ができない場合には全身管理下で抜歯処置が行える病院内の口腔外科への紹介をしています。
親知らず(智歯)などの抜歯処置で歯肉を開き骨の削合が必要な場合には、抜歯後に抜歯処置部周囲が腫れたり、縫合処置後のひきつり、開口障害、嚥下痛(物を飲み込む際ののどの痛み)が一過性に起こることがありますが、時間の経過と共にこれらの症状は回復していきます。抜歯処置前に起こりうる状況について説明しますが、質問があればその時に担当医にお伺いください。
※親知らず(智歯)やその他の抜歯処置で対応困難な状況(処置対象歯に神経や太い血管が近接しているなど)では、全身管理下で抜歯処置が行える病院内の口腔外科への紹介をさせていただきます。
参考<粘膜疾患への対応>
歯以外で口唇や頬粘膜、舌などの粘膜部にできた良性のできもの(嚢胞や腫瘤)について、局所麻酔下で処置が可能なものは当院で摘出除去処置を行いますが、視診だけでは良性かどうかを判断できないもの、鑑別診断が必要と考えられるものについては病理組織診断ができる口腔外科への紹介をいたします。
参考<外傷や歯の打撲や歯の脱臼への対応>
歯の打撲や歯の脱臼など徒手整復可能な軽度~中程度外傷の対応は必要に応じて行いますが、骨折を伴う中程度以上の外傷症例には対応しかねるため病院口腔外科への紹介をいたします。
外傷は、視診だけではわからない様々な症状を呈する場合がありますので基本的には大きな病院での精密検査が必要になると考えて下さい。