審美歯科
①審美歯科の目的は?
審美歯科の目的は「見た目を良くすること」です。見た目を良くしたいという希望があるということは、今のお口の中の見た目に気になることがあるということだと思います。
審美歯科では、治療に用いる材質を変更することで見た目の改善を行ったり、材質は同じもので治療方法を変えることで状況改善をしたりなどの方法がありますが、患者様が何をどのようにしたいかについての要望を伺ったうえで最善の方針を検討します。
見た目が気になることの原因への対応方法は、その状況によって変わりますので審美改善を希望する、あるいは考えているという方はご相談下さい。(※審美歯科は一部を除き保険診療対象外の自費診療となります。)
②治療方法による見た目の改善
歯に虫歯ができてしまったときには、その虫歯になったところを削って詰め物をして修復します。 虫歯が比較的小さなものであれば歯の色に近いレジンという材料を詰めて修復できますが、レジンは時間の経過と共に変色していくので詰めた部分の歯とレジンの境目が目立つようになってきます。保険診療での虫歯治療では、虫歯の部位を削合してレジンを詰めるといったシンプルな治療法での対応となりますので、治療後の経年的変化により見た目が目立ってくることは避けられません。
レジンを詰めた境目が目立つことへの対処方法としては、虫歯の部分だけを単純に削り取るだけでなくレジン充填の境界部が目立たない位置にくるような削合形成を行う方法があります。 この方法であればレジン自体の経年的変色は起こるものの歯とレジンの境目が目立つことを避けることができ、保険診療で使用するレジンを用いることで治療費も比較的安価に抑えることができます。
③材質を換えて見た目が向上
見た目に大きく影響を及ぼす原因として治療に用いる材料が挙げられます。 特に目立つものとしては金属材料が代表的なものでしょう。奥歯の保険治療では金属の被せ物や詰め物がよく使用されます。保険診療で前歯部の治療に使用できる被せ物は金属フレームの前面にレジンという歯の色に近い材料を加工して最低限の見た目を確保することはできますが、レジンは経年的に変色していきますので装着当初の見た目を維持することは難しく時間の経過とともに作り物感が増していきます。そのような「材質による見た目の悪さ」は使用する材質を換えてあげることで大きく改善することができます。この場合の審美改善に使用される材質の代表的なものとしてセラミック材料があります。
保険診療で使用されるレジンやCAD/CAM冠(注)は、診療直後の見た目はある程度確保できるものの時間の経過と共に変色やそれに伴う作り物感の増加は避けられませんし、金属材料は強度に問題はないものの見た目に難があります。
それに比べると、セラミックは歯に近い質感の再現性が高いだけでなく経年的変色がほぼ起こりませんので、審美改善した時の状況をより長く維持することが可能なだけでなく強度もあるので摩耗などへの耐久性も優れており、さらには金属アレルギーの心配も無い材料なのです。
現在、お口の中に入っている金属材料の見た目や、保険診療の材質の見た目が気になってはいませんか?そのような場合にはどのような対応ができるかを案内していますので一度ご相談下さい。
(注)CAD/CAM冠は保険診療で前・小臼歯部に適用できる歯の色の被せ物です。(第一大臼歯部も条件により一部適用) 金属冠と比べ見た目の改善はある程度できますが、材質の性質上作り物感が出ます。また適合がやや悪くなる傾向があり、強度が弱いため噛む力のかかり具合によっては割れやすい材質の被せ物です。
④歯の位置や形を短い期間で良くする
歯並びのなかで1本の歯だけがねじれていたり(捻転歯)、少しだけ逸脱していたり、歯の形が周囲と違うことで見た目が気になるなどの場合には、その少数の歯の見た目や歯並びの改善を審美歯科で行えます。歯の形が周囲と違うのであれば、その歯の表面に対してセラミックの板を接着したり(ラミネートベニヤ)、セラミッククラウンを装着することで見た目の改善をすることができます。
それと同様に捻転歯や歯並びから逸脱している歯に対してもラミネートベニヤやセラミッククラウンでの改善ができますが、この方法は多少の歯の削合が必要になりますので「短い期間で見た目を良くしたい」という要望が強いときに案内している方法です。
捻転歯や歯並びから逸脱している歯の見た目の改善希望をされている場合において、もし時間的に余裕があるのであれば審美歯科的改善の前に矯正歯科による歯並び改善を案内させていただくこともあります。
⑤同じ材質・方法でもやり替えれば見た目は変わる
ここに記すことは厳密に言えば審美歯科項目ではありません。以前に保険診療で治療を受けた部分が目立ってきた、あるいは詰めたものや被せ物の適合が悪くなってきたからもう一度保険診療でやり替えたいという希望があれば、やり替えたほうが見た目も適合も今よりも良くなりますよという至極当たり前のお話です。私たちは毎日の生活の中で食事をしていますからその都度使っている歯には相応の負担がかかっています。 その日々の過酷な環境では治療をした所にも負荷がかかり汚れもつくことは当然のことですから徐々に見た目や適合も落ちていきます。生活していくなかでは5~10年くらいの期間での治療のやり替えが必要になることは何も不思議なことではありません。
ご自身のお口の中の治療した部位で見た目が気になる場合にはやり替えの治療に応じていますので遠慮せずご相談下さい。 また、被せ物や詰め物の適合不良は自覚しづらいものもありますので、こちらから案内させていただく機会をいただくという意味で定期検診を受けていただければと思います。